「にんげん研究大発表会2019」開催

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人間の脱分断:「あしあと」に 耳を傾け、世界を横断しよう

私たちが生まれる前からある町並み、お店や商品。歩くと出会うこの町に暮らす人々。これらは近いようで遠い存在であり、誰かが歩んできた「あしあと」でもあります。耳を傾ければ、小さな物語に触れることができ、無意識に分け隔ててきた時代や地域の壁を飛び超え、過去のものを現在、未来へつなぎとめることができるでしょう。 本発表会は、湯梨浜町(旧東郷町)に学生や一般の方々が一堂に集まり、日常の中で関心事や問題をテーマに調査や実践した事柄を「研究」として捉え、発表し合います。 参加者一人一人が抱える多様な社会へのまなざしや未来を担う若者の価値観について語らうことで、人と人の関係の中で生まれる可能性を探っていきたいと思います。是非ともご参加ください!

 

日 時|8月24日(土)10:00〜20:00、8月25日(日)10:00〜15:00 ※開場は30分前
受付会場|たみ(鳥取県東伯郡湯梨浜町中興寺340-1
その他の会場|汽水空港、よどや、どれみ、法林寺、smoothなど
参加費|1日1,500円(二日通しは2,000円)※学生・町内の方は無料
定 員|40名(要予約/定員に達していない場合は当日受付可能)

発表者大募集!あなたの「研究」を発表してみませんか?

主な発表者は「文化」や「地域学」を学ぶ鳥取大学立教大学の学生たちですが、一般の方からも発表者を募集します。 生活の中で日々工夫したり、苦労している「研究」を発表してみませんか?

詳しい応募概要は、以下の「にんげん研究発表者募集シート」をご覧ください。

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研究発表応募シート

 

 

参加申込み:締め切りは8月22日(木) 24時まで

下記の内容を明記の上、電話かメールでお申し込みください。

1.お名前 2.人数 3.電話番号 4.所属 5.交通手段 6.8月24日の食事会参加の有無(会費:1,500円※飲酒は別途精算) 7.研究発表をする・しない(※発表する方は、お申し込み後に「研究シート」のデータファイルを送付します。)

※参加費は当日会場にて現金でお支払いください。

 

お申し込み・お問い合わせ|にんげん研究会(担当:蛇谷りえ)
Email:ningenkenkyuukai*gmail.com *を@に変換してください。 
電話:0858-41-2026(たみ)

 

主なプログラム

8月24日(土)

9:45 開場・受付 会場:たみ

10:00「松崎ドラマチック物件ツアー」 

集合:たみ  案内人:三宅航太郎

松崎地区にある地域住民が集う拠点やお店、家の中までもまちあるき。この町の営みを覗いてみましょう。

12:00 お昼休憩

13:00「なんちゃって、にんげん研究学会!」

会場:汽水空港、よどや、どれみ、法林寺、smooth

分科会スタイルで、文化や社会学を学ぶ学生と 一緒に研究発表&ディスカッションをします。

17:00 発表終了

18:00「夕食と交流会」  会場:旭区公民館 

会費1500円 1日を振り返って食事をしながら、交流をします。

20:00 終了

 

8月25日(日)

9:45 開場・受付 会場:たみ

10:00「井戸端会議〜わたしのこだわりについて、みんなで駄弁る」

会場:汽水空港、よどや、どれみ、法林寺、soomth

分科会で語られたことを共有しながら、「生活と働く/自己と他者/表現とものづくり/場づくりとコミュニティ」といったテーマをもとに、参加者が集まって、語り合います。

14:30「井戸端会議をまとめる?」

会場:法林寺 司会:稲津秀樹、竹内潔 

二日間をとおして、発見したこと・もっと話したいことをみんなで語り合います。

15:00 終了

 

 

発表者リスト(順不同)

鳥取大学地域学部 五島朋子研究室

アートマネジメントが専門の研究室です。アートマネジメントとは芸術と社会をつなぐこと、と私は解釈していますが、今のゼミ生は私1人なので、とりわけ演劇に関する話題でもちきりです。舞台制作から文化政策まで幅広く文献を読み学び、研究対象を探りつつ、観に行く舞台公演の情報交換でわいわいと弾む、そんな研究室です。(ゼミ生 中村友紀 記)

 

鳥取大学地域学部 竹内潔研究室

「創造地域論」という新しい領域に取り組む研究室。文化政策の実務を行う地方公務員(茨城県職員)から研究者に転身した教員によるゼミで、今年度、初めての卒業生を輩出します。卒業研究で4年生5人が扱っている対象は、音楽ホール、音楽アウトリーチ、祭り、伝統工芸、運河公園で、3年生3人も先輩の背中を見ながら研究テーマを模索中。他のゼミにも刺激を受けながら、にんげんの創造性と地域との関係について研究しています。

 

鳥取大学地域学部 稲津秀樹研究室

鳥取生活も3年目に入りました。卒業生はまだいないので、ゼミ生とテーマやフィールドを耕している状態です。担当者自身は昨年、研究仲間と『サイレント・マジョリティとは誰か―フィールドから学ぶ地域社会学』という本を出しました(ナカニシヤ出版・2018年)。現地を歩き、出会い、話を聞き、現実へと一歩踏み込むことで、私たちの想像力が活性化する瞬間におきていることを大切にしたいと思っています。

 

鳥取大学地域学部 筒井宏樹研究室

美術史の研究室です。ゼミ生の研究対象は、オールドマスターの画家から、鳥取や地元の美術家などです。また美術だけでなく、デザイン、マンガ、イラスト等を研究する人もいます。さらに、卒業制作としてアニメーションや壁画などの実践に取り組む人もいました。現在のゼミ生は3年生3人。タイポグラフィに関心のある落合さん、ドガの作品を分析する白方さん、水まわりのタイルやデザインに関心のある根路銘さんがいます。

 

鳥取大学地域学部 佐々木友輔研究室

視覚メディアと表現に関わることであれば何でも、興味・関心の赴くままに制作(作ること)と研究(書くこと)を続けられる場を理想としている研究室です。現在は4名の学生が、それぞれ異なる表現手法を用いて、短編アニメーションや3DCGの制作に取り組んでいます。

 

立教大学社会学部 小泉元宏研究室

今年、松崎を訪れるゼミ生は、現代文化学科、社会学科、メディア社会学科という3学科に所属する大学3・4年生に、経営学部や国際基督教大学の学生を加えた約25名です。美術・音楽・映像・演劇などのアートと社会の関係性や、現代文化・ライフスタイル、コミュニティ形成などの研究テーマを扱っています。鳥取大学のみなさん、そして松崎や鳥取のみなさんとの出会いや、新たな発見を楽しみにしています!

 

案内人

三宅 航太郎、蛇谷 りえ(うかぶLLC)

2012年に鳥取県東伯郡湯梨浜町に設立した「合同会社うかぶ LLC」。三宅、蛇谷は共同代表を務める。主に宿と飲食が併設したスペース「たみ」(湯梨浜町,2012〜)、「Y Pub&Hostel」(鳥取市,2016〜)の運営しながmら、グラフィックデザインの制作、鳥取大学や「HOSPITALE」プロジェクトのマネジメント、アートディレクションなど、多岐にわたる活動をする。

 

主催:にんげん研究会(鳥取大学地域学部五島ゼミ・筒井ゼミ・佐々木ゼミ・稲津ゼミ・竹内ゼミ、立教大学社会学科小泉ゼミ、うかぶLLC)

人口希薄化地域における地域創生を目指した実践型教育研究の新展開(戦略3-1)連携事業業

 

2019年7月18日のにんげん研究会のレポート

7月18日、湯梨浜町松崎にあるゲストハウス「たみ」でにんげん研究会(以下、にんけん)がありました。今回は、うかぶLLCの蛇谷さんと鳥取大学の学生・教員に加え、一般参加の方4名、ゲストリポーターの方2名にも参加していただき、いつも以上に大賑わいのにんけんとなりました。

内容としては、前回に引き続き、各自で進めているインタビューの報告がメインに行われました。2度目のインタビューということもあり、最初のインタビューでは得られなかった何かしらの発見、気付きが各々の中にあったはずです。それをいかにことばにして聞く人に伝えられるかが、今回報告するうえで重要なポイントとなっていたように思います。

報告するグループはじゃんけんの「グー」「チョキ」「パー」で3つに分かれました。1グループが4~5人と少人数だったため緊張しいな私でも話しやすく、お互いが程よい距離感の中で語り合えるのも個人的には心地よかったです。

一人ひとりに設けられている持ち時間は、報告と質疑応答合わせて約10分。「こうしなければならない」という型も特になく、どのような10分間にするのかは報告者次第、といってもいいかもしれません。まさに、それぞれの「個性」「持ち味」が最大限に発揮される10分間、にんけんの醍醐味がぎゅっとつまった10分間を各グループで過ごしていきました。

私は「パー」のグループで報告を行いました。報告者は(私を含めて)4人で、そのうち2人が映像を使っての報告となりました。やはり映像があると、言葉だけで説明するときとは違った説得力を感じることができます。何もスタイルが決まっていないからこそ、映像に限らず、いろいろな表現方法をこの報告の場で試していって欲しいものです。自分の表現の可能性がどこまで広がるのか、その実験の場としてにんけんを利用してみるのもまた面白いと思います。

実を言うと、「パー」グループの中で最後の最後まで話が盛り上がっていたのは、私の報告でした(大変恐縮です…)。シンプルに、インタビューしたい人に話を聞きに行ったら取材を拒否されたという話をしただけなのですが、なぜあそこまで盛り上がっていたんでしょうか…。話した本人の頭の中には未だにクエスチョンマークが残っています(笑)。ただ、「取材拒否」のエピソードを共有してみて、自分一人で考えたときには出てこなかった気付きをいくつも得ることができたのは事実です。たとえば、「相手のことを知りたければ、まず自分のことから話してみると親近感がわきやすい」とか「インタビューされる側とインタビューする側で必ずしも言葉のとらえ方が一致しているとは限らない」とか、自分ばかりでなくインタビューされる側のことも同時に考えながら話す内容や言葉を選んでいかなければならないのだなと改めて考えさせられました。

一度は取材拒否されましたが、私はまだインタビューの対象を変えるつもりはありません。今後どうなっていくのか未知数ですが、めげずに頑張っていきたいと思います。

…気付いたら結構な分量、自分語りをしてしまいましたね(汗)。すみません。話をもとに戻します。

各グループの報告が終わった後は、全員が集まって、冒頭でも紹介した一般参加の方とゲストリポーターの方からのコメントに耳を傾けました。「インタビュー内容を聞いただけの人はインタビューされた側の人とつながっているようでつながってない、不思議な感覚になる。その感覚を味わえるのが面白かった」「最初は当日着ていた服やインタビューしたときの状況の話をしていたのに、最終的には周囲に関する話へとつながっていったのが印象深かった」「インタビューの中で相手ばかりが話すのも良くないし、自分ばかりが話すのも良くない。相手のこと、自分のこと、その両方がバランスよくさらけ出されるのが一番。でも実際は難しい…」など、すべてを書き起こすことができないのは残念ですが、1つひとつ中身の濃いコメントをいただくことができました。

そうこうしているうちに今回のにんけんも終了。来月はいよいよ「にんげん研究大発表会」が行われます。詳細もぼちぼち公開されると思うので、気になる方はぜひチェックしてみてください。みなさまのお越しを心よりお待ちしております。

 

増岡(鳥取大学地域学部)

2019年6月20日のにんげん研究会レポート

6月20日(木)に、松崎駅から徒歩3分のところにある「ゲストハウスたみ」でにんげん研究会(にんけん)の集まりがありました。

皆より早めに来て、会の準備をしてくれている学生のおかげでいつもスムーズに会が始まります。

前回のにんけんで、学生はそれぞれインタビューしたい人とテーマを決めました。今回はその結果発表です。

発表は3グループ(1グループ4、5人)に分かれて1人15分程度の持ち時間で行われました。全員のお話が聞けないのは残念ですが、少人数のため発表しやすい環境でした。

インタビューする人やテーマを統一せず、また発表手段も自由だったため、選んだ人や質問内容、その伝え方に個性が出ていてとても面白かったです。
インタビューにちなんだ写真や物があると想像しやすく、内容がより分かりやすく伝わってきました。

最後に全員で集まって、発表の感想をグループごとに伝え合いました。
◯話し手目線
・自分が聞いたこと・体験したことを言葉にするのが難しかった
・インタビューした人がどういう人なのかきちんと見れていなかった
・自分が話を聞いた時の状況を伝えることや言葉の選び方が難しかった
・生い立ちが面白すぎて省けなかった
◯聞き手目線
・病気についてのお話に驚いた
・インタビュアーではなくお客さんとして聞き出したのが面白かったのでこのまま明かさず、続けてほしい
・良く知っている「ザ・理系」な先生が文系だったことに驚いた
◯上手だった発表
・聞き手にとって新鮮な内容で、またまとまりとオチがあった
パワポまで用意し、真面目な生い立ち紹介からの、急な恋愛話のギャップが面白かった
・話し手の愛が伝わってきて、素の自分で楽しく聞けた

その後、学生や先生方による宣伝タイムがありました。自分で積極的に活動を行っている人がたくさんいるので、これからもこういう時間は設けていくみたいです。

最後に、アセスメントチームの学生がつくってきてくれたアンケートを書いて会は終わりました。

会が終わった後も聞きたいことや話し足りないことがある人がたくさんいて、多くの人が話し込んでいました。

次回のにんけんでは、インタビューを更に深掘りしてきて発表し合います。
良かったら是非ご参加ください。

井田(鳥取大学地域学部)

2019年5月16日のにんげん研究会レポート

5月16日に湯梨浜町松崎にあるゲストハウスたみでにんけんの集まりがありました。たみはたまに行っていましたが、たみにあれだけの人が集まる様は初めて目にしました。何人か見知った人がいて、一人でたみに行く時とは違う安心感がありました。

たみの奥にあるリビング。木造りの雰囲気が清冽さを感じさせます。そこで、地域学部の各ゼミ生がまばらに座り、蛇谷さんの方を向きます。蛇谷さんがこれから始まるにんげん研究に関して、過去のゼミ生の作品の動画をスクリーンに映し出しました。

ビーズ職人へのインタビューの様子を絵で表現した動画。仏師の創作活動の様子と、仏師へのインタビューの動画。ロック好きなバーのマスターへのインタビュー動画。チュニックを作り続けてきたおばあさんへのインタビューの様子を人形劇で表現した動画。色、色、色、色。という風に個性の鮮烈な作品。ぼくはどれも好きでした。だけど、眠かったです。すみません。先生たちは懐かしそうに、「新たなゼミ生の前に見ると、声色がまた違って聞こえる。」、「この空間にいないはずだけど、魂が空間に共鳴してこの空間に存在するよう。」だとおっしゃり、先輩たちがまるで昇天したかのように、謎のもの悲しさを感じました。

映像が終わって、蛇谷さんが、にんげん研究会の概要を説明しました。地域の中の記憶を記録するメディアプロジェクト。「有名ではない、自分に関わりのある人をインタビュー」。有名とは何か?という基準の問いも徹底しなければいけないとは思いましたが、しかし、メディア化するということは、そもそもどういう意義があるのか。記録化したものに触れたときに、記憶の中に刻まれた、偶然性の鮮烈さを味わうことは出来なくなるのではないかと僕は考えました。それは、つまり記録に触れる者がインタビューされている人との偶然の邂逅というとても生っぽい経験が出来ないと考えたのです。

にんけんの雰囲気は終始一貫して、たみの独特のモラトリアムな若々しくもキッと鋭い意志とそこに集まる鳥大生や先生の少し堅い感じが混濁とし、熱い何かを感じました。

そして、にんけんに参加するゼミごとのメンバー紹介とどんな人物にインタビューするか。それぞれ2周して、インタビューする人物に具体的に心当たりはあるかなど、個々のインタビューについてお互いにリファインしました。

インタビューする時、インタビューする相手によって、インタビューの手法は変わります。相手の抱く「何か」を引き出すのに、最善のインタビュー方法を考えなければいけないと思いました。録音が「記録」という意味では、安牌かと思われますが、それでは、相手は「録音されている」と思って「深い記憶」の部分を聞き出すことは難しいかもしれない。相手の「記憶」を100%共有できないのは自明ですが。僕は思いました。もしかしたら、「インタビュー」を放棄するかもしれないと。それがどういう意味かは内緒です。

とにかく発表報告はMy Style!

次回のにんげん研究会は、一人一人のインタビュー内容を発表しあいます。気になった方はぜひご参加くださいね。

宮北(鳥取大学地域学部)

地域と文化のためのメディアを考える連続講座 第3弾

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目に見えないものを、みんなで、残す。


映像、写真、本、場所など、市民のわたしたちも気軽に使えるようになったメディア。これまで、さまざまなメディアに関わる実践者による講座を通して、地域社会や日常生活の中にある"目に見えない"文化資源の探り方について考えてきました。
第三弾では、エデュケーター、ディレクター、ダンサーをお招きし、「活動/仕組み/対話」に注目して、みんなで実践することで、何が残せるのか、その方法と可能性について思考します。

講座テーマ1|廃材から見る町の文化資源
日時:12月25日(火)19:00〜21:00
会場:Y Pub&Hostel(鳥取市今町2-201)
ゲスト講師:大月ヒロ子(IDEA R LAB代表)、sungja you(Dongdaemun Design plaza エデュケーター)


美術館や博物館に属して、教育・普及活動を行う二名のエデュケーター。町の歴史、廃材、空き家、地域で暮らす人々などを「文化資源」と捉え、市民が創造的な活動をするためにのプログラム開発に取り組んでいます。今回は岡山・玉島と韓国・ソウルの事例紹介をお話しいただきます。


講座テーマ2|「震災」にみる参加型コミュニティ・アーカイブ
日時:1月21日(月)19:00〜21:00
会場:Y Pub&Hostel(鳥取市今町2-201)
ゲスト講師:甲斐賢治(せんだいメディアテーク アーティスティックディレクター)


市井の人たちが集い、写真、音声、テキスト、映像メディアで取材、記録、保存、活用までを行う「コミュニティ・アーカイブ」。東日本大震災をきっかけにせんだいメディアテーク内に開設された「3がつ11にちをわすれないためにセンター」を始めとした参加型で草の根的なメディア実践について伺います。


講座テーマ3|老人ホームで生まれた、ダンスと対話の場
日時:2月6日(水)19:00〜21:00
会場:パレットとっとり市民交流ホール(鳥取市弥生町323-1)
ゲスト講師:砂連尾 理(ダンサー・振付家


舞鶴にある老人ホームでのダンスワークショップによって作られた『とつとつダンス』。2009年から始動し、ダンス公演にとどまらず、介護現場での勉強会や人類学・哲学のカフェ活動などに展開されています。本講座では、その事例とミニワークショップをとおして、ダンスを通じたさまざまな人たちとの対話の場づくりについて考えます。


全講座講師プロフィール:
大月ヒロ子(IDEA R LAB代表)
板橋区立美術館学芸員を経て独立。展覧会の監修やコミュニケーションを誘発する学びの空間デザイン、プロダクトデザインにおいてキッズワークショップを生かす新手法の構築などを行う。著書=『新・わくわくミュージアム──子どもの創造力を育む世界の126館』『まるをさがして』『コレでなにする?──おどろき・おえかき』。共著=『クリエイティブリユース──廃材と循環するモノ・コト・ヒト』ほか。教育・空間・研究領域でグッドデザイン賞キッズデザイン賞など多数受賞。
http://www.idea-r-lab.jp/


sungja you(Dongdaemun Design Plaza エデュケーター)
イタリアデザイナー、ブルーノ・ムナーリさんから影響を受けて20年間子供のためのデザイン展示、教育、ワークショップ、教具企画とデザインの仕事を主に続けている。 現在はソウルデザイン財団教育事業チームマネージャーとして働いてる。 子供、小中高生、先生対象のデザインプログラムを企画してDDPと東大門周辺地域と協力してデザイン教育を行なっている。


甲斐賢治(せんだいメディアテーク アーティスティックディレクター)
大阪生まれ。主に地方行政の文化施策に従事、企画、運営に携わるとともに、アートやメディアにまつわる複数のNPOに所属。「個人がメディアを活用し、自ら、環境を作り出す力の創出」や、「地域文化の地産地消サイクルの起動」を目指し、社会活動としてのアート、メディア実践に取り組んできた。 2010年春より、せんだいメディアテークに所属。2011年、東日本大震災を受け市民参加・協働型の「3がつ11にちをわすれないためにセンター」や「考えるテーブル」などを展開。2016年より、さらにメディアテークの機能をまちに拡張し「アーティストのユニークな視点と仕事を地域の人材、資源、課題」につなぐ新事業「アートノード」に取り組む。2011年度芸術選奨・芸術振興部門文部科学大臣新人賞受賞。


砂連尾 理(ダンサー・振付家) 
1991年、寺田みさことダンスユニットを結成。2002 年、「TOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2002」にて、「次代を担う振付家賞」(グランプリ)、「オーディエンス賞」をW 受賞。2004 年、京都市芸術文化特別奨励者。2008 年度文化庁・在外研修員としてドイツ・ベルリンに1 年滞在。近年はソロ活動を中心に、ドイツの障がい者劇団ティクバとの「Thikwa+Junkan Project」、京都・舞鶴の高齢者との「とつとつダンス」、宮城・閖上(ゆりあげ)の避難所生活者への取材が契機となった「猿とモルターレ」等を発表。著書に「老人ホームで生まれた〈とつとつダンス〉―ダンスのような、介護のような―」(晶文社
立教大学 現代心理学部・映像身体学科特任教授
http://www.osamujareo.com/


鳥取大学にんげん研究会
2012年に鳥取大学地域学部の学生らとゲストハウス&シェアハウス&カフェ「たみ」を運営するうかぶLLCで立ち上げた研究会。2013年以降、鳥取大学地域学部の複数のゼミなどが参画し、合同ゼミとしてゆるやかに活動している。地域社会の中でひとりの「にんげん」がどのように活動し、いかにして仲間を増やし環境をつくるのかについて、生活する人々の視点で、読書会やトークイベント、研究発表会などを行う。2016年から「地域と文化のためのメディアを考える連続講座」、2017年から「地域社会の記憶と文化のためのメディア・プロジェクト」を始動する。これまでの主な企画に「にんげん研究大発表会(2016〜)」、「地域と文化のためのメディアを考える連続講座(2016〜)」、「『聞く』からはじまるコミュニケーション〜「ハッピーアワー」上映会&トークショー(2018)」がある。

地域社会の記憶と文化のためのメディア・プロジェクト
主催:鳥取大学にんげん研究会・地域学部附属芸術文化センター 五島朋子
鳥取大学:人口希薄化地域における地域創生を目指した実践型教育研究の新展開(戦略3ー1)支援事業


お問い合わせ・企画:蛇谷りえ(うかぶLLC)
jatani[@]ukabullc.com、0858-41-2026(ゲストハウス&カフェ「たみ」兼用)
 
 

 

 

10月24日 にんげん研究会レポート

 10月24日に松崎のゲストハウスたみでにんげん研究会がありました。当日の参加者は鳥取大学地域学部の教員3名とうかぶLLCの蛇谷さん、そして鳥取大学地域学部の学生5名の計9名でした。実はこのうち、とある教員1名と蛇谷さん、とある学生2名は前日まで韓国に調査旅行に行っており、当日は帰国したばかりということもあり、かなりお疲れの様子でした。該当の4名の方々、お疲れさまでした!なお、韓国への調査旅行に関する報告は、後日にんげん研究会にて行われるようなので、そちらのほうも是非お楽しみに!
 今回のにんげん研究会では昨年度に引き続き今年度も取り組んでいる「地域の記憶を記録するメディアプロジェクト」のインタビュー報告と、記録の手段としてのメディアについての話し合いを行いました。今年度のメディアプロジェクトでは主に蛇谷さんと学生3名による計4名の方々について取り上げています。ひとりは、母親の介護をきっかけにビーズを使った指輪づくりを始め、今では展示会を催すほど大量のコレクションを持っているおばあさん。もうひとりはロック好きで、自分が経営するカラオケバーの店内をそのコレクションで「自分の部屋」のように飾り付けているママさん。さらに3人目は服をリフォームするおばあさん。そして僕が担当する、木彫りの大仏を掘り溜めているおじいさんが4人目です。
 それらのインタビューの内容をどのようにメディアとして記録するかが今回の本題でした。まずこの企画が発足するに至った経緯を説明します。(話の流れで僕も今回初めて知りました笑)2012年から合同ゼミとして活動している「にんげん研究会」。聞くところによるとたくさんの学生が関わり、そして卒業してきたそうです。そこにずっと関わってきた蛇谷さんは、1,2年ごとに次々と入れ替わってしまう学生たちを見て、何か本人たちがここにいた証というか、まさに「記録」を残したいと考えました。その思いが昨年度の企画に反映され、それがとても実りのある経験を生んだため今年度もそれを継続して行っています。
 「僕たちがピックアップしないと誰の記憶にも残らない地域の人々の営みや価値観。いつかは忘れ去られてしまう地域の記憶を、今ここにいて、いつかはここからいなくなる僕たちが記録する。」大学が主体になって運営しているとは思えないほど激熱で温かく、ノスタルジーあふれる企画です。
 さて今年度のメディアプロジェクトでは、記録メディアに映像と音声を用いようという話になりました。昨年度はインタビューの内容をそれぞれが手書きの文字とイラストでまとめ、その場の臨場感や自分の“主観的でもいい”素直な思いを綴りました。それを今度は実際の映像と音声で残すということで、昨年度から見て正統なステップアップのように思います。映像の構成と音声(ナレーション)の原稿作成は、インタビューを行った当事者が行います。
 次回(11月28日@ゲストハウスたみ)はそれぞれが絵コンテと原稿のアイデアを持ち寄り報告しあう予定なので、皆様ぜひお越しください!

にんげん研究大発表会2018<報告まとめ>

2018年8月4日(土)、5日(日)。立教大学生・鳥取大学生、ICU国際基督教大学)の学生、そして教員や町内外の地域の方々が集まって、暑い熱い「にんげん研究大発表会2018」が終了しました。遠方からお越しいただきありがとうございました!

1日目は、三つの分科会にわかれて学生たちの研究発表を開きました。たみの周辺にある地域の活動拠点を会場にして、社会学・芸術文化に関する研究発表(3年生はこれから取り組んでいく研究発表)をし、ディスカッションを行いました。学生が司会となり、10名ほどの小さな「場」にしたことで、密な意見交換を取る事ができました。また、活動拠点を利用する地域のみなさんが参加することで、世代間交流ができ、価値観の違いなどから、発表のあり方・届け方をどのようにすればいいか、一人一人が思考する機会となりました。

普段あまり交流のない学生たちの発表を聞くことで、社会に対してどのような思いを持っているのかを知ることができたり、普段の生活で「研究」とまで意気込んで取り組んではいないけど、学生たちの研究方法を聞いて「これもわたしの研究になるのかな?」と気づきがありました。

詳しい研究内容・分科会の様子は、学生の意志を尊重するために「学生に指導しない」というルールのもと、学生を影から見守っていた教員の方々によるレポートをご覧ください。

分科会「じぶんじしん・まち・えいぞうについて in よどや」報告 - 鳥取大学 にんげん研究会

分科会「まちづくり・おまつり・おんがくについて」in 梅や 報告 - 鳥取大学 にんげん研究会

分科会「アートについてin 汽水空港」報告 - 鳥取大学 にんげん研究会

 

その日の夜は、近くの公民館をお借りしてみんなで食事を済ませ、裏・交流プログラムとして、学生みんなで花火とスイカ割りを行いました。発表会の時と違って、顔の表情が自然でなんとも微笑ましい姿が見られました。

 

2日目の午前の部は、うかぶLLC・三宅航太郎による「松崎ドラマチック物件ツアー」と題して、たみ周辺や近隣の方々のご自宅の中を通り抜け、ぞろぞろと練り歩きました。この地域には、旧街道があって、商店と自宅と作業場が一つに繋がっている「うなぎのねどこ」と呼ばれる建築があり、都市圏ではなかなか見られない「おもしろ物件」に出会えたりもします。現在もわずかながら、商店と住居空間が同じ家庭も残っています。暮らす場所と働く場所がいっしょだから、濃密な生活文化が培われている町ともいえます。地域の人たちのそんなドラマチックな営みをしているのかが垣間見れ、大学生に好評でした。

午後の部は、会場を湯梨浜町商工会に移して、13時からは「地域に関わるための○○○をつくる〜たみの実践を事例に〜」を開きました。鳥取大学地域学部 五島朋子先生がが「にんげん研究会を通じて「たみ」を考える」、うかぶLLC・三宅と蛇谷が「たみのこれまで」を発表しました。パネリストには、元たみのシェアハウスメンバーのモリテツヤさん、田中広大さんに参加していただき、教育・研究会におけるのたみ、たみによってつくられた地域(人々とのつながり)などについて、当日参加したみなさんも交えてお話しました。しっかりとした発表と議論の場だったはずが、研究発表をとおして、6年間をふりかえって泣いたり笑ったり。ここで出会った一人一人が、これからも引き続き、地域に関わるための○○○をつくっていこうと、確認できた機会となりました。

15時からは「はじまってしまった...にんげん研究」ということで、この二日間に起きたこと、見てきたことを鳥取大学地域学部の竹内先生、稲津先生、筒井先生が発表。各分科会でどのようなことが起きていたのか、学生たちが気づけてない発見や気づきを、先生たちが鋭く視点でレシーブして言葉に残してくれました。来年はわたしも発表してみようかな、次はこういう風にしたら地域のおばあちゃんたちも参加できるよ、と参加者からのいろんなアイデアも集まって、来年も熱い大発表会になること間違いなし!?

 

あっという間の二日間。今年は学生たちとプログラムから当日準備までいっしょにできたので、鳥取大学生がホストとなっておもてなしすることができました。地域の活動拠点を会場にしたことで、拠点それぞれのコミュニティの色が出て、発表会のいい刺激となって盛り上がりました。普段あまり立ち止まって考えることのない「地域」や「文化」について学生たちと同じ目線になって考えたり、授業といえ、真剣に悩み・失敗しながら自分の関心ごとを研究する姿をみて、大人になって賢く生きてつまんない人間になった自分に気づいたりすることもありました。

振り返れば、誰もがみな通ってきたほんの一瞬で儚い「学生」時代。当日出会った学生たちをみて、いまの自分や当時の自分を投影していたように思います。次会ったときは、まったく同じ彼ら彼女らにはもう二度と会えないけど、またここで大人になった彼ら彼女らと再会できること日を楽しみに待っています。

 

2018年9月

にんげん研究会 コーディネーター 蛇谷りえ

 

映像記録:佐々木友輔(映像作家)

 

写真記録:岸野祐二郎+石原卓弥(鳥取大学写真部)

以下のサイトからアルバム写真がご覧いただけます。

photos.app.goo.gl

 

企画概要

日時:2018.8/4(土)13:00〜20:00、8/5(日)10:00〜16:00 ※開場は30分前
受付会場:たみ(鳥取県東伯郡湯梨浜町中興寺340-1)
その他イベント会場:汽水空港、梅や、よどや、旭区公民館、湯梨浜町商工会

参加費:1日1,500円(二日通しは2,000円)※学生・町内の方は無料
定員:40名(要予約/定員に達していない場合は当日受付可能)

お申し込み・お問い合わせ:
にんげん研究会(担当:蛇谷りえ)
ningenkenkyuukai*gmail.com *を@に変換してください。 

 

主催:にんげん研究会
鳥取大学地域学部五島ゼミ・佐々木ゼミ・稲津ゼミ・竹内ゼミ、立教大学社会学科小泉ゼミ、うかぶLLC)
共催:鳥取大学地域学部附属芸術文化センター
人口希薄化地域における地域創生を目指した実践型教育研究の新展開(戦略3-1)連携事業