2019年5月16日のにんげん研究会レポート

5月16日に湯梨浜町松崎にあるゲストハウスたみでにんけんの集まりがありました。たみはたまに行っていましたが、たみにあれだけの人が集まる様は初めて目にしました。何人か見知った人がいて、一人でたみに行く時とは違う安心感がありました。

たみの奥にあるリビング。木造りの雰囲気が清冽さを感じさせます。そこで、地域学部の各ゼミ生がまばらに座り、蛇谷さんの方を向きます。蛇谷さんがこれから始まるにんげん研究に関して、過去のゼミ生の作品の動画をスクリーンに映し出しました。

ビーズ職人へのインタビューの様子を絵で表現した動画。仏師の創作活動の様子と、仏師へのインタビューの動画。ロック好きなバーのマスターへのインタビュー動画。チュニックを作り続けてきたおばあさんへのインタビューの様子を人形劇で表現した動画。色、色、色、色。という風に個性の鮮烈な作品。ぼくはどれも好きでした。だけど、眠かったです。すみません。先生たちは懐かしそうに、「新たなゼミ生の前に見ると、声色がまた違って聞こえる。」、「この空間にいないはずだけど、魂が空間に共鳴してこの空間に存在するよう。」だとおっしゃり、先輩たちがまるで昇天したかのように、謎のもの悲しさを感じました。

映像が終わって、蛇谷さんが、にんげん研究会の概要を説明しました。地域の中の記憶を記録するメディアプロジェクト。「有名ではない、自分に関わりのある人をインタビュー」。有名とは何か?という基準の問いも徹底しなければいけないとは思いましたが、しかし、メディア化するということは、そもそもどういう意義があるのか。記録化したものに触れたときに、記憶の中に刻まれた、偶然性の鮮烈さを味わうことは出来なくなるのではないかと僕は考えました。それは、つまり記録に触れる者がインタビューされている人との偶然の邂逅というとても生っぽい経験が出来ないと考えたのです。

にんけんの雰囲気は終始一貫して、たみの独特のモラトリアムな若々しくもキッと鋭い意志とそこに集まる鳥大生や先生の少し堅い感じが混濁とし、熱い何かを感じました。

そして、にんけんに参加するゼミごとのメンバー紹介とどんな人物にインタビューするか。それぞれ2周して、インタビューする人物に具体的に心当たりはあるかなど、個々のインタビューについてお互いにリファインしました。

インタビューする時、インタビューする相手によって、インタビューの手法は変わります。相手の抱く「何か」を引き出すのに、最善のインタビュー方法を考えなければいけないと思いました。録音が「記録」という意味では、安牌かと思われますが、それでは、相手は「録音されている」と思って「深い記憶」の部分を聞き出すことは難しいかもしれない。相手の「記憶」を100%共有できないのは自明ですが。僕は思いました。もしかしたら、「インタビュー」を放棄するかもしれないと。それがどういう意味かは内緒です。

とにかく発表報告はMy Style!

次回のにんげん研究会は、一人一人のインタビュー内容を発表しあいます。気になった方はぜひご参加くださいね。

宮北(鳥取大学地域学部)