2017年6月22日 「にんげん研究会」のレポート

 6月22日に開かれた「にんげん研究会(以下「にん研」)」では前半に鳥取大学の川井田祥子氏から「障害者と芸術表現」といったテーマでお話していただき、後半は「地域の記憶を記録するメディア」をテーマにオープンミーティングを実施し、各自で取材を行うための取材対象を話し合いました。

今回は、前半と後半に分けて詳しい内容をレポートします。

「障害者と芸術表現」のお話

 昨今、世界中、また日本中で『創造都市(市民一人ひとりが創造的に働き、暮らし、活動する都市)』、すなわちどんな状況にある人でも「ここで生きていていい」と思える町づくりの一環として、経済的のみならず文化的な豊かさを得られることを目的とする団体やプロジェクトが活発に動いているそうです。その事例をお話くださいました。

 例えば、アトリエ「インカーブ」では、日本における障害者のアートが認められない雰囲気や、障害者が置かれる環境、また健常者からの見られ方への疑問から日本の障害者たちによるアート作品の展覧会をニューヨークで開き、彼らがアーティストとして正当な評価を得られるきっかけをつくりました。日本での障害者に対する偏見を跳ねのけ、「障害者でも健常者と同じ土俵で頂点に立てる」ということを証明できたのです。

 またアトリエ「コーナス」では日本中の福祉作業所の後に続いて、作業所にアートを取り入れる決断をしました。その結果、制限と制約まみれだった障害者たちは「創造」という自由を得て、これまで周囲の目に映ることのなかった生き生きとした表情を見せるようになりました。現在ではアトリエ「コーナス」で生まれたアート作品がファッションとコラボするなど、他分野への広がりも見せているそうです。

 このようにアートと障害者を結び、彼らに生きがいを感じてもらおうとする団体やプロジェクトは日本のみならず世界中で活動しています。川井田氏は、今よりさらに多くの障害者たちが芸術に触れられるような環境づくりや、福祉のみならず他分野と協働していくプロセスが創造都市に繋がるのではないかと締めくくっておられました。

 自分の意見としては、アトリエ「インカーブ」や「コーナス」のような団体が、単なる“珍しい例”というだけで終わらずに、今後も継続的に活動し、いい意味で“当たり前”になっていけばいいと思いました。

「地域の記憶を記録するメディア」のお話

 現在、「にん研」では「地域の記憶を記録するメディア」をテーマに、地域の人々に取材を行い、その人たちが持つ「モノ」との関係を探り、「地域の記憶」を呼び起こし、それを様々なメディアで発信しようというプロジェクトを企画・進行中です。

 取材対象の条件として「有名じゃない人」「歴史的な出来事や大きな出来事に関わっていない人」「鳥取在住で、今も生きている人」「何かを個人的に集め続けている人」などが設けられていますが、自分の取材対象(後述)からも分かるように、「にん研」メンバーが面白いと判断すればその限りではないようでした。

 出席者の中からは、「ワケありの着物が沢山集まる『たみ』の近所の呉服屋」や、「UFOキャッチャーに励み、ガラクタのようにも見える景品を訪れる人に配ってくれる公民館のおじいさん」や、「メーカーサポートが終了しているはずのWindowsXPを他の人からも集めて一台一台丁寧に使い続けているおじさん」など、興味深い取材対象候補が数々挙げられました。

 自分は周囲に「何かを集め続けている人」がいなかったので、逆に「もともとは物を溜めこむ性格だったのに、いつの間にか断捨離に目覚めてしまっていた父」に取材をすることにしました。今まで深く考えずに父の“断捨離活動”通称「ダン活」(今考えた)を手伝ってきたので、これをいい機会に何が父を変えてしまったのかを聞き出したいと思います。(笑)

次回のお知らせ

 次回の「にんげん研究会」(7月20日)では、参加者のみなさんが、今回の話し合いを踏まえ、取材をしてきます。その結果を報告することになっているので、ご興味のある方はぜひ「たみ」にお越しください。

(ムラカミ)