6月14日 にんげん研究会レポート

 6月14日。松崎のゲストハウスたみでにんげん研究会がありました。今回の参加者は学生4名、一般3人の計7名でした。一般の参加者のうち一人の方はその日たみにご宿泊されていた方で、にんげん研究会に興味を持っていただき、飛び入りで参加していただきました。にんげん研究会はそんなふうに気軽に参加していただける敷居の低い研究会です。このレポートを読んでくださっている皆様の中でも、まだにん研に行ったことないという方は是非次回のにん研への参加をご検討ください!
 さて今年度にんげん研究会では、昨年度に引き続き「地域の記憶を記録するメディアプロジェクト」に取り組みます。「地域の記憶を記録するメディアプロジェクト」とは、「有名じゃない人」、「鳥取在住で何か物を集めている人」、「自分につながりのある人」へのインタビューを通じて、普段は特に取り上げられることもない地域の人々の生活の様子を記録しようというプロジェクトです。
 今回のにん研ではメンバーのウォーミングアップとして、メンバー同士でインタビューをし合い、その後口頭で報告し合うというワークショップを行いました。インタビュー時間は30分で、時間内にペアになった人と交互にインタビューし合いました。自分は昨年度もこのメディアプロジェクトに参加していましたし、「地域と文化のためのメディアを考える連続講座」も受講していたので、人にインタビューをして、それを「その場にいなかった人」に向けて発信するということはそれなりに考えてきたつもりです。しかし今回のウォーミングアップでは、発信する場にインタビュー対象もいるということで、不思議な緊張感の中でのワークショップとなりました。
 その後の感想では、「話の盛り上がり」というのが一つポイントとして上がりました。僕はインタビューとは一方的な質問の連続ではなく、相互的に言葉が交わされる対話の一つの形だと思っています。ですからインタビューするにあたっては、いきなりテーマに直接的にかかわる質問を投げかけるのではなく、対象のプロフィールなど基本的な情報を引き出す中で会話を温めていき、そこから何かテーマに関連する部分を見つけていくというのがよいと思っています。しかし会話の盛り上がるポイントとは必ずしもテーマとリンクするものではないので、話の方向をコントロールして、テーマに関するやり取りでもその盛り上がりを保ち、新鮮な言葉を引き出す意識が大切だと感じました。
 また発信するにあたっての編集の存在の大きさにも気づかされました。対象から聞いた話のポイントを組み立てなおして、結果的に美化する形に落とし込んでしまっていたり、整合性をとるために省略・構成しなおしていたりと、発信するまでには無意識のうちに数々の段階を踏んでいるのです。今回インタビュー対象として発信される場に立ち会ってみると、意図しない補足が入っていたり、話の順番を入れ替えて着地点が設けられていたりと、内容は僕が話したことであるはずなのに、かなり新鮮で驚かされました。しかし自分が話した内容を、他者のボキャブラリーや考えを通して改めて受け取ってみるというのは、自分が他者からどう見えているのかなど、新たな自分自身の姿を発見する良い機会だと思いました。
 さて次回のにん研ではそれぞれが地域の方にインタビューしてきた内容を報告し合います。インタビュー対象は「行きつけのバーのマスター」や「最近断捨離を始めた“松崎の神様”」や鳥取大学の教授など様々です。とても面白い報告会になりそうなので、まだにん研に参加したことないという方は是非お越しください。

(鳥取大学 佐々木ゼミ4年 村上大樹)

【次回の日程】
2018年7月26日@ゲストハウスたみ